成長因子(グロスファクター)

以前に少し触れましたが、プラセンタが持つ様々な成分の中で、特に大きな注目を集めているのが「成長因子」といわれる成分で、別名「グロスファクター」とも呼ばれています。

[グロスファクターとは?]
このグロスファクターは、数種類のアミノ酸がペプチド結合した分子構造をしており、細胞に直接働きかけることで細胞分裂を活性化させることがわかっています。つまり、「細胞分裂活性化因子」ということです。

お腹の中で、たった一個だった細胞が、10ヶ月の間に3キログラム近くまで成長することができるのは、グロスファクターによる細胞活性化作用が大きく関与しているためだと云われています。

私たち人間は母体から離れてからも母親から受け継いだグロスファクターのおかげで、18~24歳ころまでは成長をしていきますが、それ以降はグロスファクターが欠乏し、緩やかに老化していくとされています。

プラセンタが若返りに効果があるとされる理由も、このグロスファクターと関係があります。
プラセンタを体内に取り入れることで新陳代謝が盛んになり、古い細胞は新しい細胞へと、どんどんと置き換わっていきます。それに伴い、全身の細胞も活性化し、若返りの効果が期待できるというわけです。

さらにグロスファクターは『因子』といわれていることからもわかるように、細胞分裂のスイッチをオンにする、いわゆる「刺激剤」のようなものとして働きます。つまり、ほんの少量で十分な効果を発揮するということも重要なポイントといえます。

プラセンタの普及

現在のようにプラセンタが広く普及した背景には、『組織療法』の発展があります。組織療法とは、患部の皮膚の中に別の組織を埋め込むという治療法です。

[組織療法とは?]
旧ソ連の眼科医であったフィラトフ博士は、角膜移植の際、一度冷蔵した角膜のほうが成功率が高く、全身への影響もよいということを発見しました。その後も研究を続けた博士は、動植物の組織は冷却されるという刺激によって、生体組織が生き残るための活性化物質を作り出すということを発見、その物質を「生物原刺激素」と名づけました。この「生物原刺激素」を利用して行う治療法を『組織療法』と呼んでいます。

[組織療法とプラセンタ]
1930年代フィラトフ博士がこの組織療法に初めてプラセンタを使用しました。この時の博士の報告では、プラセンタは全身の機能の活性化だけでなく、病気の部分の治癒を促進する作用に優れるとしています。

[組織療法と日本]
日本へは、戦後になって組織療法が輸入されました。
1950年には組織療法を研究する医師らが集まり、「組織療法研究所」が設立され、プラセンタ・エキスを利用した更年期障害や乳汁分泌不全の注射薬の研究・開発を行い、「メルスモン」という名前で医薬品としての認可を受けると、1956年に「メルスモン製薬株式会社」として注射液の製造・販売を始めました。

また、違うルートでプラセンタ・エキスを日本に広めたのは稗田憲太郎博士です。
稗田博士が開発し成功させた「冷蔵胎盤漿液療法」に基づき、1959年に肝硬変治療のための注射薬「ラエンネック」が登場しました。

プラセンタ~胎盤の構造

今回はプラセンタ・エキスの元とも言うべき、胎盤についてもう少し詳しく見てみましょう

[人間の胎盤の場合]
妊娠2ヶ月ほどで胎盤が形成され始め、妊娠4ヶ月くらいまでは胎児とともに胎盤も成長していきます。最終的な胎盤の重さは平均で500~600グラムほど、大きさは直径15~20センチほどで、厚さ2~3センチ程度の円形または楕円形をしています。

胎児と胎盤をつなぐのは”臍帯(さいたい)”所謂「へその緒」です。

臍帯を流れる血液を通じて、胎児は胎盤へ老廃物を送り、母体から胎児に栄養素や酸素などが送られます。ですが、母体と胎児の血液は混じり合うことはありませんので、母子間の血液型の違いによる血液凝固は起こらない構造になっています。

胎盤において最も胎児に近い側には”羊膜(ようまく)”という膜があり、羊膜を取り除くと、”絨毛(じゅうもう)”と呼ばれる、ツリーの形をした毛のようなものがたくさん生えています。ツリーでいう幹にあたる部分は胎児側と繋がっており、ツリーの一番上にあたる部分は母体側に繋がっています。

この枝分かれしたツリーの葉にあたる部分を、”浮遊絨毛(ふゆうじゅうもう)”といい、絨毛内には胎児の血液が走っています。

胎盤の母体に近い側では、母体の血管が口を開けたように開いているため、胎盤内は母体の血液で満ちています。胎児の血液が絨毛を流れる間に、絨毛の膜を通していろいろな物質の交換が行われる構造になっています。胎児と母体の血液が混じりあわないのは、こうした構造によるもので、この構造のことを「プラセンタバリア」といいます。

プラセンタ~胎盤の違い

哺乳類であれば必ず妊娠により胎盤を形成しますが、全ての動物の胎盤が同じ形・働きというわけではありません。動物の種類によって形や機能が違います。

[人間や猿の胎盤]
人間や猿、ねずみといった動物の胎盤は「盤状胎盤」と呼ばれ、子宮の一部に丸く盤状に形成されます。
人間の胎盤は、哺乳類の中では最も進化した胎盤であり、酸素や栄養分、老廃物などの交換が行われる他に免疫を胎児に送る働きもしています。

[馬や豚の胎盤]
馬や豚などは、子宮内全体に形成される胎盤で、「散在性胎盤」と呼ばれます。
妊娠中の時期を特定することなく起こる散発性流産を発生が馬に多い理由は、「散在性胎盤」のため母体と胎児の結合が分離されやすいことと、妊娠5~6ヶ月ごろ、黄体ホルモンの分泌が黄体から胎盤へと切り替わるためといわれています。

[牛や鹿の胎盤]
牛や鹿など、複数の胃を持ち、一度食べた食物を吐き戻して噛み返すという反芻(はんすう)を行う動物のことを反芻類といいます。反芻類の胎盤は、「多胎盤」と呼ばれ、胎膜に小さな胎盤が70~100個ほど分布しています。胎盤を通して母体から胎児へ栄養分を送ることはできますが、免疫などを送ることはできません。

[ネコやイヌの胎盤]
ネコ目とも呼ばれる他の動物を獲物とする食肉類は、ネコやイヌ、クマなど約240種類にのぼります。
食肉類の胎盤は「帯状胎盤」と呼ばれ、胎膜の中央部分を帯状に一周して胎盤を形成しています。そのため、子宮内の胎児は人間よりも安定しています。

医療用に使用されるプラセンタはヒトの胎盤を原料としていますが、美容用に使われるプラセンタの多くは、豚や馬、羊の胎盤が利用されています。